ECサイト構築システムosCommerce

2003年6月3日
株式会社ビットスコープ (info@bitscope.co.jp)

目次

1 osCommerce とは

osCommerceは、高機能なオンラインショップを構築できるオープンソースのソフトウェアです。

osCommerce.comを拠点として国際的なオープンソース・コミュニティによって開発が進められていて、(1)すでに十数ヶ国語に翻訳され、世界中で1000サイト以上が稼動しています。日本語へのローカライズと日本独自の支払い方法や配送手段への対応についても、osCommerce日本語化プロジェクト(http://sourceforge.jp/projects/tep-j/)によって作業が進められています。

osCommerceは、オンラインショップに必要な機能がパッケージ化されているので、短期間・低コストでショップを構築して業務を開始することができます。また、特別なコンピュータの知識がなくても、最小限の労力でショップの運営・管理ができます。

ショップ

osCommerceには、次のような特徴があります。

  1. osCommerceはGPLライセンス(GNU一般公有使用許諾)のもとに公開されています。

2 ショップの機能

osCommerceは、利用者に分かりやすく、安心して買物のできる、賑わいのあるショップを目指しています。

2.1 分かりやすく簡潔な購入手続き

分かりやすい商品の購入手続きや支払い方法は、オンラインショップの重要な要素です。ショップの利用者は、商品の購入を一度決定しても、手続きが分かりにくかったり、ショップの対応に不安を感じると、購入せずにそのサイトを去ってしまいます。

2.1.1 ショッピングカート

利用者は、気に入った商品を「ショッピングカート」に入れて買物をします。実際に「レジ」で商品の購入手続きをするときには、ログインを促されます。ここでE-Mailアドレスやパスワードを入力してログインし、その後は購入手続きが進行します。

つまり、ログインの前後で一貫してショッピングカート機能が働くので、利用者はログインを意識することなく何気なく商品を選ぶことから始めて、買い物を楽しむことができます。

ショッピングカート

2.1.2 会員の登録と管理

ショップの利用者は、商品を購入するときにE-Mailアドレスや住所、氏名を登録すれば、次回からは、同じ情報を再度入力する必要はありません。

ログイン画面では、E-Mailアドレスとパスワードを入力してログインします。このログイン情報は利用者のパソコンに保存することができますので、2度目にはパスワードを入力する必要もありません。もしパスワードを忘れた場合には、E-Mailアドレスを入力して、新しいパスワードを自動的に再発行する機能があります。

ログイン画面

利用者はショップの会員として管理され、次のようなサービスが提供されます。

購入履歴
自分の過去の購入履歴を見たり、注文した商品が配送されたかどうかといった受注処理の状況を確認することができます。
アドレス帳
利用者は、アドレス帳に自分以外の住所や氏名を記録しておくことができます。これは、プレゼントを贈る場合に便利な機能です。

2.1.3 安心して買物をしてもらう

利用者が安心して迷いなく買い物をすることができるように、次のような機能を提供しています。

SSLに対応
セキュリティを確保するためにSSL (Secure Socket Layer)に対応して暗号化された安全な通信を提供します。
注文手続きのステップを表示
利用者の購入手続きのステップを画面下に分かりやすく表示します。利用者に現在の手続きの段階を知らせて、購入完了に導きます。
支払い方法や配送手段を選択
ショップ側が用意した支払い方法や配送手段の中から、利用者の都合のいいものを選ぶことができます。配送希望時刻も指定できます。
電子メールによる自動通知
新しくアカウントを作成したときや、注文を完了したときに、自動的に確認のメールが送信されますので、利用者の「うまく買物ができたのだろうか?」といった不安を解消できます。また、商品を発送したときに、お知らせのメールを送信することもできます。

2.2 欲しい商品をすばやく見つけてもらう

オンラインショップの利用者がショップに対して求める水準は、どんどん高くなっています。例えば、ショップの品ぞろえの豊富さと商品選びの容易さは、どちらも重要でしかも相反するものです。このような基本的な機能を満たしているかどうかが、コンバージョン率(サイト来訪者に占める購買者比率)を左右します。

次のようなポイントが操作性の目安になります。

osCommerceは、「商品分類が細かく、きちんと整理されていて、検索も使いやすい」ショップを実現します。

2.2.1 分かりやすい商品展示

利用者は、自分の興味のある商品カテゴリーを選んで、その中の商品を見て買い物をします。商品カテゴリーは、必要に応じていくつでも用意することができますし、カテゴリーの中にさらにカテゴリーを設けて商品を整理することもできます。

カテゴリー選択ボックス

一方、利用者にメーカーが分かっている場合には、メーカー名のリストの中から選択して、そのメーカーの商品を一覧表示させることもできます。

そういった商品リストの中の商品名や商品画像をクリックすると、その商品の詳細説明が表示されます。各商品の詳細説明は、HTMLや画像を利用して表現力豊かなものにして利用者にアピールすることができます。

商品情報

2.2.2 商品検索機能

すばやく目的の商品を見つけることができる強力な検索機能を搭載しています。

商品名などを入力して検索したり、商品カテゴリー、メーカー、商品登録日、価格の範囲などを指定して検索することができます。

詳細検索

2.3 買物を楽しんでもらう

オンラインショップは、利用者にとっては、あらかじめ予定していた商品だけを購入する場所ではありません。商品知識を得たり、自分に合った商品の提案をしてもらったり、意外なものに出会ったりといった、さまざまな体験の場であってほしいはずです。

2.3.1 多くの商品に触れてもらう

osCommerceで構築したショップには、利用者に多くの商品に触れてもらう仕組みが用意されています。

新着商品
トップページには「今月の新商品」が並んで表示されます。各ページにも「新着商品」が表示され、ページが移るたびに商品が自動的に入れ替わって表示されます。
ベストセラー
各ページに「ベストセラー」のランキングが表示されます。
特価商品
各ページに「特価商品」が表示され、ページが移れば商品が入れ替わります。「特価商品」の特集ページへのリンクも表示されます。
カスタマーレビュー
各ページに「カスタマーレビュー」が表示され、ページが移れば商品が入れ替わります。「カスタマーレビュー」の特集ページへのリンクも表示されます。

これらの商品の画像やリストは、商品情報にリンクしています。いろいろな場面で、利用者が予期していなかった多くの商品情報に出会う楽しいショップが実現できます。

商品へのリンク

また、商品の詳細情報ページを開くと、「この商品を買った人は、こんな商品も買っています」のコーナーで、その商品を過去に購入した人があわせて購入した商品が表示されます。これは、関連商品の提案という性格の情報になります。利用者自身にも有益な情報と感じてもらえるはずですし、利用者の潜在的なニーズを掘り起こして、客単価のアップが期待できます。

この商品を買った人は...

2.3.2 カスタマーレビュー

「カスタマーレビュー」とは、利用者による商品の評価記事です。商品を購入した利用者が、その商品の評価記事を投稿して、別の利用者がそれを参考にすることができます。

単に売る側があたえるだけの商品情報ではなく、利用者の視点でとらえた商品情報を利用者が生み出す場となります。これは、Webならではの貴重な情報源になります。

カスタマーレビュー

3 管理機能

osCommerceで構築したショップでは、Webブラウザを利用してさまざまな管理機能を操作することができます。

管理メニュー

3.1 商品の登録と管理

商品については、次のように管理します。

商品カテゴリー
商品は、いずれかのカテゴリーに属することになりますので、必要なカテゴリーをあらかじめ用意します。カテゴリーの中にさらにカテゴリーを設けて、商品を分類することができます。
メーカー
商品のメーカーを登録しておけば、利用者がメーカーで絞り込んで商品を探すことができます。また、商品の詳細情報が表示されるページで、メーカーのロゴやWebページへのリンクと、同じメーカーの商品を一覧表示するリンクが表示されます。
商品の登録
商品のカテゴリーを選んで、その中に商品を登録します。商品の色や仕様のバリエーションを「オプション」として登録して、オプション価格を設けることもできます。また、商品の在庫数を登録しておけば、売れ行きに連動して在庫が管理されます。

カテゴリー / 商品

3.2 注文と顧客の管理

注文と顧客の情報は、次のように管理します。

支払方法と配送手段の設定
ショップで提供する支払い方法を、銀行振込、代引き、クレジットカードなどから選べます。配送手段(2)や配送料金についても、必要なものを選んで設定を行います。
注文の確認と受注処理
注文一覧を表示して、注文の状況を確認することができます。受注処理の流れに応じて、[処理待ち]、[処理中]、[配送済み]などのステータスを変更して管理することができます。
顧客の管理
顧客一覧を表示して、顧客の詳細を見ることができます。
カスタマーレビュー
カスタマーレビューの内容を確認したり、必要に応じて削除することができます。

ここで管理している情報は、すべてデータベースに格納されています。これらのデータをダウンロードしてバックアップをとることができます。

注文一覧

注文内容

  1. 配送手段としては、ヤマト運輸、佐川急便、一般小包郵便物(ゆうパック)の配送料金計算モジュールを用意しています。

3.3 分析機能

商品と顧客の統計を表示して、マーケティング活動の参考にすることができます。

商品別の閲覧回数
どの商品に興味が持たれたか。
商品別の販売回数
どの商品が実際に売れたか。
顧客別の売上順位
どの顧客に売れたか。

商品別の閲覧回数

また、利用者のアカウント情報は、購買まで結びついていなくてもデータベースに記録されますから、電子メールによるプロモーションなどに利用することができます。

3.4 電子メール配信機能

最近のオンラインショップの販売実績の1/2は、ショップからの電子メールを介してのものだといわれているように、電子メール配信は、マーケティングの重要なツールとなっています。

osCommerceは、次のような電子メール配信機能をサポートしています。

メール送信機能
通常のメール送信機能です。顧客の氏名を選択してメールを送信します。
メールマガジン配信機能
会員登録(アカウント作成)のときにメールマガジンの購読を希望した人に対して、メールを一斉に送信します。
商品別のメールマガジン配信機能
個別の商品について、メールによる商品情報のお知らせを希望した人に対して、メールを一斉に送信します。

3.5 バナー管理機能

次のようなバナー管理機能をサポートしています。

スケージュール管理
バナーの表示スケジュールを指定しておけば、自動的に表示が制御されます。
クリック分析
バナーごと、日付ごとのクリックカウントを表示できます。

4 その他の特徴

4.1 国際化機能

osCommerceで構築したショップでは、利用者が必要に応じて言語や通貨を切り替えて買物をすることができます。

言語の切り替え
利用者が表示言語を切り替えて利用することができます。英語、ドイツ語、スペイン語の言語セットが標準で搭載されています。利用者が言語を選択すると、メニューや操作説明、商品説明(3)の言語が切り替わります。
通貨の切り替え
利用者が通貨を切り替えて利用することができます。利用者が通貨を選択すると、基本の通貨から利用通貨(例えば円からドル)に価格が自動換算されて表示されます。
図 1 国際化機能
  1. 各言語で商品説明の文章を用意します。

4.2 デジタル・データのダウンロード販売機能

画像、音楽、ソフトウェアなどのデジタル・データをダウンロードによって販売することができます。利用者にパッケージ販売とダウンロード販売を選択してもらうことも可能です。

ショップでは、販売するデータ・ファイルを準備して、ダウンロードできる有効期限や回数制限などを指定できます。

利用者は、購入手続きが終わると、ページに表示されるファイルをクリックして、直接ダウンロードして入手することになります。

5 参考資料

osCommerceについての情報源としては、以下のようなものがあります。

サポートサイト
osCommerceの開発拠点で、サポート・ドキュメント(英語)が置かれています。
osCommerceサポート・ドキュメント(日本語)

osCommerceの日本語サポート・ドキュメントを公開しています。

メーリングリストへの参加案内。過去のメーリングリストへの投稿を検索することもできます。

オンライン・デモ
osCommerce 2.2のデモを見ることができます。
運用中のショップ・リスト

実際にosCommerceで運用しているショップのリストが公開されています。

また、osCommerceを用いてデザインをカスタマイズしたショップの事例には、次のようなものがあります。